CVを用意し、Linkedin・マッチングサイト・エージェント登録を行うと、どんどんと企業紹介の連絡がくるようになります。
ある程度自らの転職戦略に沿って選別を進めていくわけですが、日系企業に比べると社内事情の情報は少ないのが外資系企業です。
ブラック企業だったらいやだなとか、ノルマは大変なんだろう、売るのが難しいのではないだろうか、等不安に思うこともあるでしょう。
考えてみれば調べる方法は意外とあります。
内情調査を行う3つの方法
内情調査の方法は3つありますが、「信頼性」順に記載をしていきます。
①信頼性高:実際に働いている友人・知人に確認する
「そっちはどう?」という質問をすれば、受け手側はたいてい「ははーん、転職したいの?」と察知してくれるので、それも早いです。
社会人になって同業でつながっている人は、ほとんどが元同僚か競合他社の人でしょう。
当時はそれほど親しくしていなかったり、なんとなく苦手だなと思っていた人ぐらいのほうが、それぞれの立場から離れると馬が合ったりするから不思議です。そういう人の方が意外と情報を教えてくれる場合も多いです。
内情なんて教えてくれるのかなと思う方もいるでしょう。
実は外資系企業の採用においてはほとんどの場合、Referral(紹介採用)のインセンティブを設定されています。
時期や企業によって異なりますが、おおよそ1名あたり数十万円が紹介者に入ってくる仕組みです。「Great Talent knows great talent」という概念から来ており、優秀な人は優秀な人とつるむので、優秀な知り合いがいるだろうということです。
もちろん紹介をする人間の立場からも、知り合いの人生を左右する意思決定ですので、自分の勤めている会社がよほどいい会社、成長する会社と思わないと誘うことはできないでしょう。
またちゃんと情報提供を行い、不満点やギャップ感がない状態で入ってきてもらいたいわけです。かなり理にかなった制度であると思います。このReferralを逆手にとれば、自分から「あなたの会社に興味があるのだけど」と言ってくる知り合いとは、お互いにwin-winになれるわけです。
②信頼度中~高:面接で判断する
インタビュープロセスは何も自分が判断されるだけの場ではありません。
面接官が自分を見るのと同様に、自分も相手を見定める機会に使えます。特に最近はインタビュープロセスの品質を担保するため録画をする場合もあったり、自分たちが質問するだけでなく候補者からの質問に回答する時間を設けることも増えてきています。
DJの推奨は、60分全体で相手を測るということです。
60分間だと、だいたい前半が自分の紹介と討議、後半が候補者からの質問に面接官が回答するという流れになります。
まず前半では自分の紹介と討議ですが、どのような質問が来るのかをじっくりと吟味しましょう。
質問内容=求めている人物像にあたりますが、その人物像はそのまま面接官(つまり入社後に上司になる人間)が働きやすいと考えている要素が反映されています。
質問の系統として、担当者としてどの程度レベルがあるのかということが多ければ「セルフマネジメントしている自律タイプ」を希望しているでしょうし、「上司への報告はどのようにしますか」等自分との意思疎通を多く確認する場合は、部下にはある程度のマイクロマネジメントを行うでしょう。
面接官との関係性における質問があったらメモをしておきましょう。質問の裏返しが、そういう動き方を求めていることになります。
前半の感触次第ですが、後半の質問ターンでは、どんどん質問をしましょう。
注意点として、質問内容は年代によって変わります。
20代~30代の方であれば許される質問というのがあります。直接的に「マイクロマネジメントですか」とか「パワハラしますか」などとはもちろん聞けないですが、「今後ご縁があってご一緒した場合についてお聞かせください。どのような部下が働きやすいと思いますか」とか「●●様(面接官)のお考えの中で、こういう行動はゆるせないというものはありますか」などは全く問題ありません。
そんなこと聞いて失礼にならないかと思いますが、逆に質問された当人は違和感はないでしょう。むしろ俺と一緒に働くためのことをすでに想定しているんだなと思われます。
40代になると、「マイクロマネジメント」=自分の業務すらマイクロマネジメントできない人なの?、「パワハラ」=営業マネージャーが何に対して怒るのかわからないの?社内の人間ごときが言ったことに左右されるの?という受け止め方をされてしまいます。
どんなSFAでどのような報告をしているのか、どのような提案書を使っているのか、等のより具体的な質問から類推するのがよいです。枕詞として「自分は〇〇〇を使っていましたが、御社では何を使っていますか?」というある程度情報を出したうえでの聞き方がよいです。
③信頼度低~中:口コミサイト
昔流行った板、2CHなどのいわゆる掲示板や投稿サイトなどでのコメントは、
話半分ぐらいで受け止めておく
のがよいでしょう。
投稿している方々が悪気があるわけではないです。彼らは彼らの真実を記載しているわけですが、その人物が信頼性のある人かはわからず、あってもワンサイドストーリーになる可能性があるためです。
たとえば在職中の方の投稿の場合、投稿自体がConfidentialityに抵触している可能性があります。そのような人物のいうことを真に受けていたら、できる判断もできなくなります。
退職されている方の投稿の場合、順風満帆で辞めたということは少なく、恨みつらみが記載されているケースも多いです。その場合は自分の真実が記載をしているうちにバイアスでどんどん歪められていっていることも多いでしょう。
コツとしては、スクリーニング条件を設定することです。
たとえば、「個人を攻撃する内容は無視」、「働く環境については読まない」などです。
見るべきところは、「製品の売りやすさや競合との差別化についての投稿」や、「製品自体の良し悪しに関する投稿」などになるでしょう。
営業として入社した後にちゃんとお客様の問題解決支援や価値提供を行える製品かどうかを見極めたいためです。
口コミサイト2選
それらの前提を踏まえて、以下が情報ソースとなります。
・投稿系鉄板:Glassdoor
Indeedの後に、リクルート社に買収されたことでもご存じの方もいらっしゃるかもしれません。「ガラスの扉」という直訳が示す通りですが、興味深いのは投稿した内容に対して、実際のCEOが承認するかどうかまで仕組み化されているところです。
すべて英語ですが、企業の本社地域や各拠点からぞくぞくと投稿されています(ブラウザの機械翻訳機能を使うことも1つの手でしょう)。
外資系日本法人の場合は、グローバルの働きやすさと、日本法人の働きやすさにギャップがあることもありますが、全体的な方向性を見ることにはよいと思います。
総合スコアが3.7~3.8以下の企業は注意しましょう。
内容は期間限定で見ることができ、それ以上見る場合は自分で投稿しないといけないですが、日本企業も対象となっています。また、投稿内容も給与だけでも可能なため、特定内容を書きたくない場合は、Salaryのみでもよいでしょう(自分の給与は開示してもよい)
実際の内容ですが、インタビュープロセスに関することであったり、会社の中身であったり、給与であったり、かなり赤裸々な内容が書かれています。
投稿も高いスコア順から表示されますが、結構「入社後でやる気満々のテンション高い状態」で記載されている場合もあり、内容についてはよくよく精査することがよいでしょう。
もちろん低いスコアから見ることもできますが、その場合は恨みつらみ系が多い印象です。
・投稿系次点:OpenWork (旧Vorkers)
URLが示す通り、旧Vorkersです。小さな日本法人拠点であっても記載があることが多く、日本法人の様子が垣間見えます。ただし、Glassdoorと異なるのは、法人社長の承認などがないことです。皆さん結構いろいろ書かれていらっしゃいます。
日本人が対象となるため、Glassdoorに比べるとスコアリングは甘めにされています。マイナス0.5点~1点ぐらいで見た方がよさそうです。
外資企業によっては投稿数が数件のみの場合もあります。それでも大体の感触を見ることはできます。
記載がない法人はあきらめましょう。書くほど恨んでいる人がいない、と受け止めてポジティブに考えるのがよいと思います。
まとめ
どの企業がよいのかはそれぞれのキャリアステージやビジョンによってかわります。
大事なことはそれらを確定させたうえで、スクリーニング条件や確認条件を設定して、その観点で見極めを行っていくことです。ある程度自分が納得してから入社しないと「やっぱり失敗だった。。。」となりかねません。
応募企業の要件を明確化をすることを第一歩としましょう。