これまでの候補者とのインタビューにおいて、「アポを取るには何が必要ですか?」という質問をすると、たいていの方が回答できていませんでした。
意外と知られていないようですが、そもそも誰にどういうコールをするか、というリストがなければアプローチできません。
簡単に言えば営業活動の行動とは、
リスト作成 → アプローチ → アポ確定 → 案件化 OR 非案件化
というサイクルを回していくことであり、最初のアプローチには潤沢なリストが必要となります。
ターゲットリストと、その作成方法
対象企業を決める
まずは対象企業を決めましょう。
何よりもそこから始まります。
対象数は、以下の通り勤める企業が提供するサービスやソリューションによって変わります。
大きく2パターンになります。
1)特定部門向けのソリューション:自分のテリトリー内企業数十社すべて
例:A社人事部門管掌役員、人事部長、人事課長 / B社 …
特定部門向けソリューションですと、原則は1社1部門への導入となります。この場合は数を稼いで目標数字を達成することになりますので、対象は自分のテリトリー内にある企業数十社となります。
100社以上ある場合は、大きな企業だけにする、など優先順位をつけましょう。
2) 複数部門向けソリューション:優先順位を付けた対象企業の複数部門の
例:A社A部関係者、B部関係者、C部関係者… / B社A部関係者、B部関係者…
1社につき複数部門で使われる製品(エンドユーザーコンピューティング系製品、デスクトップ製品など)の場合は、多くても5-10社程度となります。自分のテリトリー内すべてを対象としてもよいですが、営業工数も限られているので、無理はせず大きな企業から優先順位をつけていきましょう。
リストの作成方法
リストに入れる項目は、以下で問題ありません。
企業名
氏名
肩書
部門
メールアドレス
代表番号
直通番号
アクション内容
メールアドレス、直通番号などは公開情報に記載がない場合がほとんどであるため、いったん空欄でもかまいません。
アクション内容を記載しておくことで、いつどういうアプローチをして、接続できたかできなかったか、接続できたが断りだった(いますぐでない・競合製品を使っている・興味なし等)、案件化したか、などがわかります。
具体的な例は以下となります。
特定部門向けソリューションのリスト例
複数部門向けソリューションのリスト例
このリストを回していくことで、追加でどの程度アクションを起こしていくべきかわかりますし、社内において上司への報告も容易になります。このリスト作成作業自体をスプレッドシートだけではなくSFAで管理する場合もあります。
ここで気づいた方もおられると思いますが、このリストは入社後に作成するアカウントプランにおける組織図作成と重複する作業となります。したがってリスト作成から行うと、アカウントプランの一部もすでに完了できることになり効率的でもあります。調べ方もアカウントプラン作成と同じで、顧客HP、日経新聞の人事情報、異動ニュース、業界新聞の異動情報等で調べていきます。
入社後に外部や自社イベントなどでコンタクト先が増えたらそちらも追加していきます。
次に仮説立案/対象部門の想定課題と提供価値の追加
早くアプローチすることはよいことですが、何の準備もなく素手で戦いに行くのは負ける戦いを増やすことにつながってしまいます。
中級編としては、初級編で作成した純粋なリストに、仮説をベースにした想定課題と提供価値を追加していきます。
特定部門向け製品の追加項目
上記のパターン1)においては、想定課題は作りやすく、それらに対する提供価値も作りやすいでしょう。とくに管理部門(財務経理税務、人事、監査、経営企画等)向けのソリューションの場合は、業界や業種問わず共通の課題があるため、作成しやすいことになります。
実際に多くの外資系企業では営業チーム内で課題共有はされているはずですので、転職する場合においては、それを事前に入手しておくことを強くお勧めします。
複数部門向け製品の追加項目
パターン2)においては、とくに複数のLOB(=Line of Business、ビジネス部門や事業部門。たとえばマーケティングや営業部門な等)攻めるケースでしょう。同じ業界でも、それぞれの成熟度合いや施策の優先順位などが変わりますが、想定課題のパターン化は可能です。
気を付けることはそれぞれの課題がどの成長ステージにおいて存在するものなのか、まで落とし込んでいくと後々に有利になります(「我々は貴社が提示するその課題までは至っていない」などの反論を防ぐため)。
実はこの作業はもう1つメリットがあり、お客様の理解と自社理解を双方を進めることができます。あくまでざっくりとした、エレベーターピッチレベルの上位概要ですが、それでも全くわからない世界から、多少うっすらと視界が広がったぐらいにはもっていけます。
まとめ
このリスト作成は、外資内資にかかわらず営業関連職では皆さんやられていることだと思います。いまやデジタル世界でも「集客」と「質のいいリスト」は必須ですので、重要な作業となります。
意外と時間がかかる作業ですので、入社前にしておくとライバルに差をつけたり、少しでも追い付くことができます。かかっても1つの企業で2日程度でできるはずです。入社後はリスト追加修正とメンテナンスは週末ぐらいしかなくなるため、最初にできるだけ作っておいて、その後空いている時間帯にメンテナンスしていく方がよいです。