天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず
中国戦国時代 儒学者 孟子の言葉 出典:「公孫丑(こうそんちゅう)・下」
この言葉は「良い勝機は有利な地にかなわず、有利な地は団結した人の輪にはかなわない。人の和がもっとも重要である」というような意味です。
天の時、地の利、人の和、いづれも重要な要素です。
天の時は、いつも転職モードにしておけば世の中の時流に合った企業から紹介を受ける可能性は高くなります。外資の世界では常に新しい企業が作られていますので、のちにメガベンダーに成長するような企業に巡り合うこともあるでしょう。このあたりの選定のコツも別記事で展開します。
人の和は、人脈の観点と社内同僚との協力が得るという観点の2つがあります。どちらも成功には不可欠ですが、自分の努力で勝ち取ることも可能です。このあたりのノウハウもまた別記事で書きます。
外資IT営業の世界においては、自分の能力や武器の質を高めることだけではなく、地の利は非常に重要です。
生存に重要なノウハウは、地の利=つまり、勝てる環境
まずは、
地の利=「環境」が重要である
と理解することが最初の一歩です。
SURVIVALという生存手段の略語においても、まず最初に「Size up the situation」(=自分の置かれた状況を図る)ということが述べられているぐらいです。
昔は「周りの環境のせいにしてどうする。自分の努力が足りないのだ」とよく言われる時代もありました。しかしそれは高度経済成長期という、仕事がどんどんあふれている時代の話です。そのような時代では誰もが個人的に努力すれば成功することは可能だったでしょう。人の和も社内で確立されていたこともあるかもしれません。
現代は、企業自体もこれまでと全く異なったやり方をしないとビジネスが成り立っていかない時代となりました。「周りのせいにするな」といっていた当人たちが「どうしようもならない」と匙を投げるぐらい難しい時なのです。
個人の能力だけではどうにもならないときもある
同じ「能力」・「運」・「正しい努力の度合い」を持っていたとしても、「環境」の違いによって、無意味な苦労をし続けてしまう人たちと、正当な対価(もしくは美味しい思い)をもらっている人たちとわかれます。
「あいつとはそんなに能力や実績はかわらないはずなのに、彼我の差は何か」と思うことはありませんでしたか?
他人の芝は青く見える、気にしてどうする?と周囲からいわれることもあるでしょうが、そういう思いを抱いても、いいんです。その思いが「他人軸の評価を求めている」ことでないかぎりは、間違っているとは思いません。
外資系に転職しよう、転職してきたという思いを抱く時点で、今の環境では相当に努力しているでしょうし、結果も残しているでしょう。でも自分の環境が恵まれていないがために、思うような結果まで到達していない可能性もあるのです。
先ほど述べた通り、個々人が自分の能力だけで成り上がっていくのは相当難しいときです。
努力が足りないんだという呪縛から自分を解き放って、
もっと自分が輝ける環境を探していきましょう。
勝てる環境の実践方法/表の手法:選ぶ
まず重要なのは、
「勝てる環境」にあるかことを選ぶ
です。
数年ごとに繰り返す転職活動において最終面接で伺った、非常に印象的な日本法人社長の言葉があります。
いい製品を持っているベンダーなんかたくさんある。彼らがすべて日本市場で成功するわけではない。急速に立ち上げるには立ち上げるためのノウハウというものがあるんだ
日本法人社長の言葉
まだ年齢も若くDJはほかの企業からのオファーを選ぶことになりましたが、残念ながらその選択は失敗に終わりました。
ときにはあそこで違う選択をしていたらどうなっていただろうかと思うこともしばしばありますが、この言葉に影響を受けて「日本法人立上げにチャレンジしよう」という考えに至った自分もいます。
周りにいる、上手いことやっている人たちは僥倖もあったかもしれませんが、おいしい環境を見つけられる能力があった場合も少なからずあります。
どういった視点で選ぶかは別記事で述べますが、まずは選ぶということを考えてみましょう。
勝てる環境の実践方法/裏の手法:作る
外資IT営業で成功するためには、
勝てる環境を作る
ということが必要です。
より具体的に言えば、
自分が食えるだけのテリトリー(アカウント群)をもらう
ということになります。
これは非常に重要です。理由は以下です。
質の面=ベンダー製品によって親和性の高い業界とそうでない業界ある
親和性が低い業界の担当となったとしても、営業予算が減らされるわけではありません。そうでない業界はホワイトスペース(まだ導入していない企業)がたくさんあるのだから、という理由で同じ金額予算が組まれます。当然勝ち筋の業界は在籍している営業が担当しており、そう簡単に担当をさせてもらうこともないです。
こぼれ話ですが、親和性の高い業界を担当していた営業が、部署異動で別のチームに配属になったとたん、全く売れなくなったこともあります。別のチームではほかの営業がちゃんと実績を上げていたにも関わらずです。
量の面=特定部門向けソリューションが近年のSaaSベンダーに非常に多い
特定部門向けソリューションの場合、1社1部門しか導入されません。100社担当している営業と10社担当している営業とは結果に歴然の差が生まれます。
もちろん関係のある周辺部門向け製品を展開している場合もありますが、周辺部門にはそれを専門としたソリューションを提供しているベンダーが商売をしているので、意外と難しいケースの方が多いです。
なぜ周辺部門に展開するような色気を出しているかというと、既存市場が飽和気味で新規市場への展開戦略をしなければいけないか、グローバルで高いスキルをもった営業が過去に当該部門に売った実績があり、それに気をよくした経営層が安易に製品展開しているか、といういづれかのケースが考えられます。どちらのケースでも、それに乗ったところで結果はでません。
規模の面=大きな企業は大きな予算をもつ、大きな金額で売れる
これは単純な話で、大きな企業であればあるほど、大きな投資予算を持っています。
また、ライセンスの課金体系も影響を与えます。ユーザー課金、トランズアクション課金、データ量課金、どのような場合でも使う対象が多ければ多いほど大きな案件金額になります。
テリトリー争いは、マネージャー同士でも熾烈な戦いをするほど生死を分けるものです。転職をする場合でも自分の担当テリトリーは必ず交渉の上、入社しましょう。
まとめ
正しい努力をしている人であれば、今の状況に不満がある場合、それは環境のせいがほとんどです。環境によって正当な対価が得られるかそうでないかが決まります。環境は自分次第で選ぶことができます。いい環境のネタが入ってくるように常に間口を開けて待っておきましょう。