【深堀】外資IT営業を選択する、たった1つの考え方

転職前
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数ある業界の営業職において外資IT営業を選択すべきなのはなぜでしょうか。もちろん高給ということは言えますが、歩合がよい営業職はほかにもたくさんあります。

すべてのキャリアを営業として歩んできたDJからしますと、営業職についてもある程度の哲学のような考え方が生まれます。

営業の扱いは「活動から生み出される価値との相対」によって変わる

1つの企業における営業職に対する捉え方は、

営業活動から生み出される価値との相対

と考えます。

もっとわかりやすくいうと、営業がいないと売れないような難しい商材は営業に対価を多く払われますし、そうでない商材は対価を払わないことは必然ということです。

とくに外資系企業は

難易度が高い商材を扱う=金銭的インセンティブを提示する

というシンプルかつ明確なロジックがはっきりしているので、高給提示が行われます。

日本企業は終身雇用と年功序列がインセンティブだった

これは日本企業における法人営業が難易度が高い仕事をしていないということではありません。

いわゆる外資というイメージが想起される欧米企業だけではなく、グローバルスタンダードで「営業と言ったらカネを渡すでしょう」という概念が普通なのですが、営業職に対して個人成果に応じたインセンティブを提示しない日本企業は、それとは社会構造が異なっているためです。

第二次世界大戦を敗戦で迎えた日本においては、軍需産業以外で産業勃興を行う必要がありました。天然資源がない国がこれを実現するには、規制産業や護送船団方式を確立しつつ、「ヒト」つまり人材育成を国民全体に行うことが優先されます。

戦後教育は画一的なモデルでありますが、これは「就業後一定の業務ができる人間を作る」ということに特化しているためです。

その後高度成長期を経た日本企業は、一定スキルをすでに持った人材を雇用して集団の力でさらに成長していきますが、その際に強烈なインセンティブであったのが「終身雇用」+「年功序列」です。

個人の成果に応じた高給は支払われない代わりに、雇用維持を担保し、既得権益を持った人(早く入社した人)も守る、というインセンティブです。戦後食べるものにも困っていた体験がある方々の子供たちや孫たちには、まさに「一生食うに困らない」ということは大きな対価であったわけです。企業側も仕事はどんどんあったので、人材を抱えていっても困ることはありません。

これは個人の観点からでも、サバイバル策として正しい選択であったでしょう。

仕組みとして公平な完全歩合制を提示する企業もでてきましたが、ごく一部の業界に限られていました。

バリューチェーンで考えてみる - 営業活動と付加価値 –

しかしながら、現在のような不透明さがます時代においては、日本企業もいつまでも人材を抱えているわけにはいきません。早期退職制度や早期定年制が推進されるように、年功序列や終身雇用はありません。

それでもインセンティブの支払いが悪い企業はおおく存在します。これは外資系企業でも存在します。

なぜでしょうか。

企業における付加価値のありどころというのは、顧客が自社製品やサービスに支払う対価という接点だけで捉えるのではなく、マイケル・E・ポーターの競争優位の戦略に出てくるフレームワーク「バリューチェーン」で捉えるとわかりやすいです。

各機能部署が仕事の受け渡し行って価値を追加していきます。しかしながら、そのチェーンにおいて肝となる部署もあればそうではない部署があるのが事実なのです。

より分かりやすく「スマイルカーブ」も例にとって説明しているドキュメントが経済産業省サイトにありますので、参考にしてみてください。https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2013/pdf/honbun01_04_01.pdf

いつの時代も販売(営業)に重きを置く企業は給与を多く支払う

営業活動に価値の比重が高い業界はどのようなものでしょうか。例えば以下の業態です。

価値が高い例

 ■製薬企業はR&DとSalesが肝 → 日系でも研究者とMRに多額の報酬

 ■差別化難しい保険営業 → 日系・外資ともに営業に多額のインセンティブ

 ■難易度が高めの高額商材やB2B営業 → 内資は特殊な事情であまり払わず、外資は多く支払う

価値が低い例

反対に、以下の例もあります。 

 ■アパレル企業 → トレンド追従と製品開発がすべて。どこも営業は低い(ユニクロは別)。

 ■ラグジュアリーブランド  →  ブランド構築・維持がすべて

あくまで例ではありますが、営業としてキャリアを積んでいくのであれば、どの業界やどういった企業に勤めるかを選択することは重要な行為となります。

営業に求められるのは複雑かつ難易度が高いものしか残らない

新規顧客獲得に重きを置いていたマーケティングではマーケティングオートメーション(MA)が、売上拡大を担っていた営業でもセールスフォースオートメーション(SFA)がすでにでています。

仕組化ノウハウ、基盤としてのクラウド活用(SaaS化)、機械学習の汎用化によるAI大活用時代到来、などの技術的な躍進によって、今後は企業業務のあらゆるものが自動化されていきます。

営業職においても、単純な営業業務はシステム化がどんどん進んでいくでしょう。過去2年間以上に及んだCOVID19感染拡大がそれらに拍車をかけました。つまり、見積書作成や御用聞き、ルート営業ぐらいの営業活動には、これからはお金を払わないどころか、BOTやAIに任せた方がいいということになるわけです。

たとえば、MR職はいまだ高給の部類に入りますが、すでに製薬企業ではMR職を削減し始めています。

営業側から「タブレット支給による情報提供はあくまで補完先生(お医者様)に合うことが営業活動に重要。昼休みの5分が勝負、売上は自分たちの行動の成果」と強い主張があったのに、ふたを開けてみれば、営業が会いに行かなくてもCOVID19に関係がない薬も売れ続けていたという事実があるからです。

「人」としての営業に求められる業務も、複雑かつ難易度が高い行為のみに集中する

でしょう。

今後営業として生きていくのであれば、複雑かつ難易度が高い業務をこなすノウハウを持っていることが必須となります。もしかすると高給であった業界の営業職も、これから大きな変化が起きる可能性があります。

結局どうしたらいい?

今続ける企業が「営業にそれほど価値をおいていないように見受けられる」ということであれば、同じ会社の人間の意見など聞かずに別の環境に移る検討に入った方がいいです(つまり転職です)。

1つ目の理由は前述の通り、価値が低い、効果性の低い営業業務はどんどんAIやシステムに変わられるためです。企業からすれば、スタミナに限界のある人間よりも、多少精度は落ちても24時間稼働してくれる機械を選ぶでしょう。

ホームページを訪れた、見えない見込み客にチャットボットで対応する、なんていうのはすでにインサイドセールスの仕事の一部を代替しているのではないでしょうか。また最近のProduct Led Growthという概念もそうです。

2つ目の理由は、見受けられるという議論がすでに社内でなされているのであれば、企業外に容易に比較する対象があるからです。

内資企業に在籍されている方々は、外資と内資の年収差については結構社内で議論がなされているのではないかと思います。とくに最近のDXブームにおいてDXスキルを持っている人材を採用するには外資系企業から採用する必要性も高く、これまでの人事制度では賄えないからです。

逆に言えば、そういった方々の出身企業に移れば、同じ評価を受けられるわけです。

経験則からですが、内資・外資双方において業務上の負荷はそれほど変わりません。営業職に関して言えば、毎月あるいは四半期ごとの成績達成は義務ですし、それができないプレッシャーは常に付きまといます。ほかの部門でも業務目標があれば同じでしょう。

同じ負荷であれば、やったらやっただけもらえる仕組みを提供している企業に勤める方がいいです。

まとめ

ジョブ型という概念で最近記事になるケースも多いですが、いまさら感があります。営業として独り立ちしたいのであれば、自分は自分、企業に勤める以上求められた結果は出すし、その対価はもらうというマインドがお互いにとって心地よいはずです。その対価をくれない企業であれば、時間を無駄にせず環境を変える取り組みを行っていきましょう。

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