※この記事は入社後90日全体に関する「まとめ記事」となります。
入社後は90日プランに沿って、営業サイクルをどんどん回していくことになります。
ただ回すだけではなく失敗分析をしながら軌道修正をかけていくことが肝となります。失敗分析も自分のみで行うのではなく、上司からのレビューを受けるようにしましょう。
営業サイクルとしては以下のグラフ図がわかりやすいです。各社によって案件ステージの定義は異なるためそれには沿っておらず、どういった商材であっても当てはまる、壁のようなものも含めて記載をしています。
90日プランの遂行(とにかく案件を積み上げる)
入社直後は案件は何もありませんので、とにかく案件を積み上げ、ハイプラインを構築することが必要です。案件構築をするために作成した90日プランを着実に実行をしていきましょう。
最初の1週間と上司レビュー
2週間目と上司レビュー
3週間目と上司レビュー
4週間目と上司+その上の上司レビュー
というのが最初の1か月となります。
最初の30日である程度軌道修正ができるはずですので、その後の60日間も同じようなペースで軌道修正しながら業務を遂行していきましょう。
最初の30日のアクション
ターゲットリスト、アポイント取得用スクリプト、初回紹介資料は、事前準備段階ですでに手元にあります。
そのため、最初1週間と2週間ぐらいまでは
「アポイント取得」に工数全振り
していきます。
以下のようなアポサイクルをどんどん回していきます。ターゲットリストもどんどん精査されていきます。
初回ミーティング前に準備が必要のためもっと先の日程の方がいいのではないかと考える人もいますが、躊躇する必要はありません。
2週目のスケジュールからどんどんアポイントで埋めていきましょう。
初回ミーティングに対しては、初回ヒアリングリスト、FAQリスト、オブジェクションリスト等、初回ミーティングをハンドリングするだけの事前準備もできています。
おおよそですが、
実施した初回ミーティングのうち、0.5割~1割ぐらいが案件化
となると思います。
最初はターゲティング自体も甘く入り、自社ソリューションとはまったく関係がない人にもアポを取ってしまう可能性もあります。
また、過去の人脈が直接ミートしない部門のだと他部門を紹介いただくための事前紹介アポという場合もあるため、すぐに案件化につながる確率は低めになります。
週1件は案件を作っていきたいため、週平均10~12件程度ミーティングが入っているペースでしょう(このペースはずっと続けることになります)。アポイント断りを受けた企業も、次回復活のためにいったんリストに戻し、次のアポ取得サイクルまで休眠させます。
案件化率は低めでも問題はありませんので、継続してアポを取りつつ、ターゲットにミートしていた方との初回ミーティングがどのような流れであったのかを1つ1つ分析していきましょう。
できれば1つのミーティング後に分析とレビューをすぐに行い、できていなかった個所はそのあとに設定されているミーティングに向けて即刻修正するというやり方のほうが効率的です。
最初に当たる壁 – 案件化ができない –
営業が最初にぶち当たる壁が、「案件化できない」つまり案件を作ることができない状態が続くことです。とくに若手営業や経験不足の場合にはよくあるケースではないでしょうか。
この壁を安易に克服するため、「やわらかい案件ばかりを積み上げる」ことは避けておきましょう。次のフェーズで絶対に大きな負担がでてきます。
まずはなぜ案件できていないかの自己分析を行うことです。
主な要因は以下が考えられます。要因は対策が打てるように自社側のみを記載します。
とにかくアポ優先となっている
Right Personaでもないのにアポ取得すれば、アポ取得件数は上がりますが案件化はしません。
とにかくミーティングさせてください、情報提供のみでも結構です、というスタンスでアポ取得すると初回ミーティング自体が徒労に終わります。
近年は営業プロセスも分業化が進み、アポイント取得までをインサイドセールスチーム担当となることが非常に増えています。アポ取得件数やリードから案件への変換率(コンバージョン率)がKPIとなっている場合も多く、どうしても件数を稼ぐというインセンティブが働いてしまいます。また、せっかくアポ取得したのにフィールドセールスが案件化してくれなかったという不満もよく出てきます。これはインサイドセールスとフィールドセールスとの連携に大きな軋轢を生みます。
対策としては、とくにアポ取得の短い時間でも確認する質問事項(BANTなど)を決め、ある程度スクリーニングをすることです。流れとしては自己紹介 → 電話の意図連携とアポイント打診 → 承諾後にいくつか確認、というものが自然でしょう。
アポイント取得スクリプトが甘い
にべもなくお断りされるお客様やニーズがないお客様をスクリーニングするとして、もったいないのは案件化しそうなお客様からアポイントが取れないことです。
対策としては、スクリプト内容の修正と音声記録の振り返りです。
スクリプトは一度で完成するものではないため、最初作成したスクリプトが甘い場合は仕方がないです。最初から完璧を目指すより、電話の感触ごとに最大5分程度の時間でポイントのみを伝えるスクリプトになっているか確認をしましょう。
とくに「ミーティングを受けようかな」と迷っているお客様は、決断をするための妥当性のある情報をもっと取ろうと質問をしていただけます。その質問事態もある程度想定しておき、回答も作成しておきましょう。
「今はお断りを受けてしまったけど、ニーズはありそうだ」という感触があったら、今後も接続ができるようにメールアドレスを頂戴する、直接番号を頂戴するというフローもスクリプトに入れておくと安心して電話をすることができます。
さらに自分の声の高さ、スピード、滑舌などは一度音声記録を取り、事前に練習をしておきましょう。それだけで大きな自信になります。実際の電話についても音声記録をして、あとで聞き直すとよいでしょう。
ターゲティングの精度が悪かった
ある程度の前準備で回避はできますが、外資系特有かもしれません。
本社やAPAC地域統括の方から「この部門で他地域は売れている」と事前に聞いており、当該部門にニーズがあるかと考えていたら、意外とそうでもなかったケースもあります。
これも入社前の限られた時間と情報で行っているので仕方がないことでしょう。
撤退の目安としては5~7社程度。1同じ部門に接続して、まったくニーズがないということがわかったら別の部門の別ニーズにアプローチするなど修正をすることが必要です。
この場合は「なぜニーズがないのか」なども参考までに聞いておくと、方向転換の必要性を社内説明するさいにも使えます。
次に当たる壁 – 案件滞留 –
次の壁が「案件滞留」となります。
お客様が稟議申請上げる前には折衝フェーズ(競合比較や妥当性検証、価格交渉など)に入りますが、そこまで到達せず、
「ずっと話は聞いてもらっています」
「いい感触はあるんですけど、先に進めていただけないんです」
という状態が続いてしまうことです。
多くのセールス手法やフレームワークはこの壁とさらにその次の壁を乗り越えるためにあるものですので、SPIN、Value Based Selling、MEDDIC、を活用して「どのピースが足りていないのか」を明確化してきましょう。
この「案件滞留」の壁、についてはいくつかパターンがあります。基本的にスクリーニングしたうえで初回ミーティング設定されている前提となるため、「自分の部門は使わない」「そもそもニーズがない」というものは省いています。
初回ミーティングの入りが甘く、進まなかった
初回ミーティングの在り方については、別記事で記載しておりますので、ぜひ参考にされてください。
対策としては、
- 毎回のゴールと想定着地点設定
- ヒアリング主体(お客様にしゃべっていただく)
- 質問は意味があることのみ(SPIN、Value Based Selling、MEDDIC)
- 初回ヒアリングシート活用
となります。
ミーティング最後の確認などで、お客様が
「製品がよくわからなかった」
「どのように役立つのかわからなかった」
「質問した内容に適切な回答がでてこなかった」
「希望していた事例が少なかった」
などのフィードバックを出すようであれば、あまりいいミーティングではなかったといえます。
初回ミーティングはよかったが、それ以降進まない
初回ミーティングの感触は良かった。
SPINやValue Based Sellingに沿ってヒアリングをしたので、初回ミーティングはある程度お客様にも話していただき、自社製品の理解もあり、価値も伝わっている。
しかし、その後メールを打っても応答がない、直通番号に電話をしても出ていただけない、あるいは電話接続は時と場合にできるが「やらないといけないんだけどねえ」と言われてはぐらかされる、等の状態です。
対策としては、
初回ミーティングの最後に5分程度のラップアップ(wrap up/まとめ)の時間をかならず設定する
ことです。
Value SellingのOPCのうちのConfirmation質問ですね。
最後だと全体のスケジュールが押した場合に心配だという方は、ミーティングの途中、20分後、40分後ぐらいに2-3分のチェックポイントを複数入れることでもよいです。
その時間に何を確認するかですが、「お客様の本気度」を図ります。
最初はそのようなことを聞いて大丈夫かなと不安になるかもしれませんが、率直に聞いてしまって構いません。
それでも不安な方は「これまでの討議から、わたくしはお客様が弊社製品によい感触をいただいていると理解しておりますが、間違っておりますでしょうか」という聞き方をしましょう。
自分の考えが間違っていないかという聞き方は、お客様側からするとギャップを埋める作業に聞こえるため、一体感も生むことができます。
とくに「社内で検討します」という言葉には敏感に反応することです。自分では決められないから検討するのか、断りたいから検討するのか、どういう背景があるのかを具体化しないと次のアクションが打てなくなります。
競合が攻勢をかけている
DJも何度も食らったことがありますが、ミーティング出席者がすべてポジティブな意見を言っていたのに、いざ窓口担当者を決めて進めようとすると、のらりくらり、全然評価まで進みませんでした。
ふたを開けてみると、システム部門が別のベンダー(ガチンコの競合ではない)との討議をすでに進めている段階であり、そこに決まってしまっていたわけです。
お客様からの反応が薄くなったら、まずは他製品との比較を考えていると想定して、気を付けるようにしましょう。
対策としては事前にコンタクト先を複数持っておくことです。
複数あれば、状況をそれぞれ確認することができるので、内情がどこかから聞ける可能性が高まります。逆に言えば1名の方の発言を信じて待っていることはリスクがあるということになります。
まとめ
本記事は大まかに入社後90日のより具体的な壁や対策などをまとめとして記載しています。より詳しい内容や手法などを知りたい場合は、リンクを参照するか、「入社後」カテゴリーの各記事を読んでみましょう。