【デファクト】Value Based Sellingとその中身を徹底解剖【すぐに使える】

Value Based Selling
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Value Sellingとも言われますが、外資ITベンダーではトレーニングを受けた方も多いのではないでしょうか。外資IT営業において、もはやデファクトスタンダートの主張といっても過言ではありません。

日本ではValue Selling Associateが日本人講師のトレーニング提供も実施しています。

SPINやMEDDICとも共通項目もあり、一言でいうと、

自社ソリューションが提供する価値をお客様と合意して進めていきましょう

というものです。

Value Based Sellingの肝

Value Based Sellingの肝は

適格な見込み客(Qualified Prospect)かどうかを見極めること

にあります。

どこかの要素がうまくいかないようであれば、ヒアリングが甘いか、あるいは適格ではないかもしれません。

以下の公式が肝となります。

適格な見込み客  =  差別化されたVision Match  × 価値 × 権限 × 計画

これらを一枚スライドでまとめた「ValuePrompter™」がトレーニングでは提供されますが、Value Based Sellingは前半・後半と分けて考えると理解しやすいです。

「差別化されたVision Match」とはこれから前半パートとして述べていくものです。

お客様が果たして自社製品を買うべきなのかという見極めをしていきます。

後半は、自社製品との親和性と具体的な購入までのステップを見ていきます。

価値は購入の価値があるか、権限はそもそも買うことができるのか、計画はいつ買うのか、となります。これらがそろって初めて適格といえるという考え方です。

Value Based Sellingの概要 (前半)Vision Match

Vision Matchの名前が示す通り、お客様とビジョンをすり合わせていくということになります。MEDDICでも行いましたが、「これから実現したいこと」「いまの運営でなっている障害を取り除くこと」がビジョンの2大パターンになります。

まずは前半の要素です。

ビジネス課題

組織や個人が今最優先で達成しなければいけないこと。取り組み事項。

企業人ですので、それぞれに課せられた使命や目標があります。「実現しなければいけないこと」「解決しなければいけない問題」などです。

3か年契約の方針から今年度の計画を聞き、さらに具体的な取り組み事項を聞くとよいでしょう。

ビジネス課題についての追記としては、取り組み事項だけヒアリングしても自信満々に「こういうことをしています」と回答が来る場合もありますし、「それをこなすだけで精一杯」という場合もあるでしょう。追加で「不安にさせる質問」を使って突いていくこともします。

問題

こちらは、上記のビジネス課題達成を妨げるもの。となります。

苦労・損・挑戦・見えていない・懸念していること。

不便・不安・不満、等

です。MEDDICのIdentify Painでも述べましたが、これが実は非常に重要で、問題を深堀してお客様に提示できるかどうかが、営業の腕に見せ所になります。

解決策

その問題を解決するものとして何を探しているか。

最初の時点は必ずしも自社製品が解決策となっているわけではないです。すでに解決策に当たりをつけおり、競合他社から話を聞いている可能性もありますし、全く別の選択肢を想定しているかもしれません(業務アウトソーシング等)。

さきほど「問題」において深堀りした正しい問題設定ができているか、が自社製品が選ばれる鍵となります。

OPC質問を追加

これらの要素はSPINとも似ているのではないでしょうか。MEDDICとも多くの共通項がありますね。

これら要素の確認においては、ただ単にヒアリングをするだけでなく、以下の手順に沿って確認まで行います。

  • O=Open-Ended (オープン質問):各項目における買い手側の表面化を質問通じて行う
  • P=Probing(調査質問):確認した内容をさらに具体的に掘り下げ、潜在的な要素を顕在化する
  • C=Confirmation(確認質問):上記の内容を確認して、相違がないかを合意する

上記Vision Matchの各要素とOPCとががマトリックスのようになる感じです。

これらの要素は「差別化」されたものでないといけないため、質問だけでなく討議も行い自社が勝てる土俵に持ってくることを繰り返します。

Value Based Sellingの概要 – 後半 –

いよいよ後半は自社の提案と重なっていきます。

価値

自社の解決策が買い手に与えるビジネス上の価値(例:ROI向上、コスト削減)

MEDDICのMetricsとも同じですね。ほかの競合製品と同じ価値提供とならないように、こちらもOPCを使いましょう。

権限

決定に影響力を持つ人もしくは人たちを特定し、早期にアプローチする。

MEDDICであればEconomic Buyerです。BANTですとA(Authority)です。

計画

意思決定のプロセス、導入から稼働、目標実現までの計画を示し、合意する(握る)

MEDDICのDesicion Processとも共通ですね。

少し異なる点は、「お客様の目標達成」をゴールにおいているところです。販売して終了ではなく、販売後導入から活用して結果を出すまでが支援対象となります。

Value Based Sellingにおいて頭に汗をかくところ

これは二か所です。SPINでも記載したとおり「問題」のパート、それから営業であればだれもが苦労する「価値」パートです。

問題については、深堀りをして真の問題設定を行っていく必要があります。業界や企業の知識だけでなく、業務知識なども必要です。業務変革コンサルティングなどに携わったことがあると見えやすいかもしれません。どこかしらの業務に支障があるという捉え方をしてくと、その支障の裏にある問題点を見つけやすいです。

価値についても苦労するでしょう。だいたい以下の要素を考えると作りやすいです。

 売上拡大

利益確保

 資産効率

 リスク逓減

 ケイパビリティ

Deloitte ConsultingがValue Mapを作成していますので、そちらを参照してもよいと思います。「Deloitte]「Value Map」などで

また価値については、Business ValueとPersonal Valueがあります。コラム記事としてより詳細を記載しておりますので、参照ください。

まとめ

Value Based Sellingは今やどの外資ITベンダーでも行われている手法であるため、知っておくととても役に立つでしょう。実際の現場での活用は「提案書テンプレート」に落とし込み、各要素が埋まらないと提案書が完成しない仕掛けなども有効です。

よく上層部から受ける質問で3つのWHYがあります。

「WHY then?」「WHY us?」「WHY now?」ですね。

Value Based Sellingを使えば、その質問にも回答することができるようになります。

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